太るためには睡眠の質を上げ成長ホルモンをたっぷりと。眠る4つのコツもご紹介

2017年5月2日

「寝る子は育つ」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは子どもだけに当てはまることだと思っていませんか?

答えはNO。大人にも当てはまります。人の身体は睡眠中に成長ホルモンが多く分泌され、その働きで身体の修復と成長を行なっています。

睡眠は、体や脳を休めるためだけでなく、成長ホルモンが働いて体を大きくするための時間なのです。年齢を重ねるごとに成長ホルモンの分泌量は少なくなりますが、何歳になっても成長ホルモンは分泌されています。

ですから、質の良い睡眠をしっかりとることで大人も太りやすくなるのです。睡眠と太ることの関係性を詳しく見てみましょう。

睡眠で太れる!その理由とは?

自律神経を整える効果

質のよい睡眠には、まず自律神経を整えるという役割があります。自律神経とは、自分の意思とは関係なく、体の機能を勝手にコントロールしている神経。

暑い・寒いといった体温の調節や血圧の昇降など、生命活動を維持するために自動的に働いているものです。

この自律神経は、活動している時やストレスを感じている時に活発になる交感神経と、休息中やリラックスしている時に活発になる副交感神経に分かれており、この2つがバランスよく働くことで健康的な生活が送れています。

自律神経は胃腸の働きにも深く関わっており、消化や吸収と言った胃腸の働きは副交感神経によって活発になります。

しかし、睡眠が思うように取れなかったりストレスなどにより交感神経が優位になってしまうと胃腸の働きは低下し、胃痛や食欲不振の症状が起こります。

さらに消化機能も弱まってしまうため、食べた物の栄養が体に吸収しにくくなり、太れない体になってしまいます。

成長ホルモンの分泌

成長ホルモンは、脳下垂体から分泌されるホルモン。1日のうちに1時間から3時間ごとに押し出されるように分泌されており、就寝後に訪れる最も深い睡眠時に集中して大量に分泌されます。

成長ホルモンには身体の成長、肌細胞の修復、疲労回復、脂肪の燃焼などの働きがあり、発育期の子どもにはもちろん、大人にも、太りたい人にも欠かせない重要なホルモンです。

寝つきが悪かったり、熟睡できなかったりすると成長ホルモンがうまく分泌されなくなるので、質の良い眠りを得ることが成長ホルモン分泌のポイントです。

成長ホルモンが最も分泌されやすいのは22時から深夜2時までの4時間で、このゴールデンタイムに睡眠中であることが理想だと昔から言われてきました。

しかし現在では、成長ホルモンは時刻に依存するものではなく、その人の眠りの深さによって決まることがわかっています。

成長ホルモンが多く分泌されるのは、眠りについてからの最初の3時間で、特に最初の90分間に訪れる深い睡眠状態の時が分泌量のピーク。

つまり、就寝から3時間の睡眠の質を高めることが、成長ホルモンをしっかり分泌させることにつながります。

成長ホルモンがたくさん出れば体は大きく成長し、痩せている人も太ることが期待できます。

太るためのストレス解消法

ストレスが原因で太れない。そんな人は、まず胃腸を元気に整えることを考えましょう。

ストレスを抱えている人のほとんどは、胃腸が弱っており、いくら食べても太れない体質になっていると考えられます。

ですから、太るためにはまず体調からアプローチするのがおすすめ。胃腸の調子を整えるには普段の食生活の改善が必須です。

コンビニ弁当やスナック類、ファストフードなど、油っこくて化学調味料や添加物が大量に入っているものはなるべく避け、ご飯にお肉、魚、生野菜や果物など、栄養バランスの良い食事を心がけること。

納豆やヨーグルト、チーズなどの発酵食品も積極的に取り入れましょう。

また質の良い睡眠と、心地よく疲労を感じるほどの適度な運動、リラックスできる入浴、そして気分転換になる趣味を持つなど、日常的にストレスをためない環境を作る努力も大事です。

睡眠に関わるその他のホルモン

睡眠と深く関係のあるホルモンとして、成長ホルモンの他にメラトニン、コルチゾールがあります。

コルチゾールは、副腎から分泌されるホルモンで、ストレスを受けると分泌量が増加することからストレスホルモンとも呼ばれています。

コルチゾールが大量に分泌され続けると脳内の記憶をつかさどる海馬を傷つけてしまい、記憶の定着に悪い影響を与える場合があります。

就寝直後の深い睡眠寺にはこのコルチゾールの分泌が抑制されるので、ここでも良質な睡眠が求められます。

もう一つのメラトニンは、身体のリズムを調整し、睡眠を安定させる働きのあるホルモンで、睡眠ホルモンとも呼ばれています。

メラトニンは日中はほとんど分泌されませんが、夜間になると就寝時刻の1、2時間前から徐々に増えていきます。

メラトニンの分泌が促されると眠くなるというメカニズムなので、質の良い眠りを得るためにはメラトニンの分泌が重要になってきます。

夜遅くまでテレビやパソコンを見ていたり、明るい光にさらされているとメラトニンの分泌量は減りますので、遅くとも就寝の1時間前には照明を暗くして静かに過ごし、メラトニンが分泌されやすい環境をつくるようにしたいものです。

太るために、良質な睡眠をとるには

良質な睡眠をとることは、太るために大切であることがわかりました。では、良質な睡眠をとるには具体的に何をすれば良いのでしょうか。

基本的には生活習慣を整えることにありますが、ふだんの生活の中で簡単にできるコツがあります。

リラックスモードにする

眠りのために副交感神経を優位にし、リラックス状態をキープすることが大切。それには自分がリラックスできる好きなことを積極的に取り入れるのがポイントです。

お風呂にゆっくりとつかって体を温めたり、マッサージやストレッチで体をほぐしてあげるのも効果的です。

お風呂はぬるめのお湯(39℃から40℃)に長めに入り、入浴後は30分ほどでお布団に入るようにするのが深い睡眠につながりやすくおすすめ。

就寝前に好きな音楽を聞くのも気分がリラックスできて良いのですが、眠りにつく時に聞いていると脳への刺激となり睡眠の邪魔になってしまいます。

音楽を聴く場合は寝る前だけに限定しましょう。

食事は就寝の3時間前までに

就寝時に、食べ物が胃に残ったままだと、体は消化の働きを優先させなければならなくなり、成長ホルモンの分泌が抑えられてしまいます。

できれば、就寝の3時間前までに食事を済ませておくのがベストです。どうしても食事が遅くなってしまう場合は、なるべく消化の良いものを少量だけ食べるようにしましょう。

睡眠前の明るい光に注意

眠る前にテレビやパソコン、スマホなどで明るい光を見ていると、脳が興奮状態になり、睡眠ホルモンのメラトニンが出にくくなります。

寝室はできるだけ暗くし、灯りをつける場合は目に直接光の届かない間接照明などを取り入れましょう。

寝る前のホットミルク

就寝前に飲み物を飲みたくなる人も多いと思います。寝る前には冷たい飲み物よりも温かい飲み物を。

ホットドリンクを飲むことで一度身体が温まり、その後体温が徐々に下がっていくことでスムーズな眠りに導かれます。

カフェインの含まれるコーヒーや紅茶、緑茶は覚醒作用が働き、交感神経を優位にしてスムーズな眠りを妨げる恐れがあるので避け、麦茶やホットミルクを飲むようにすると良いでしょう。

特に牛乳には、睡眠に欠かせないホルモンの原料である、必須アミノ酸のひとつ「トリプトファン」が多く含まれるのでおすすめです。

太るためには、睡眠・食事・運動の生活リズムを整えて

太るためには食べ物ばかりが重要だと思いがちでしたが、太ることと睡眠がこんなに深い関係にあったとは、目からウロコですよね。

良質な睡眠は私たちが健康に生きて行くためにとても大切なことですが、その良質な睡眠は、規則正しい生活習慣がベースとなって得られるものです。

そこにはもちろん、食事や運動も大きく関わってきます。良質な睡眠を確保しても、毎日の食事から栄養をしっかり摂れていなければ太ることはできません。

そして、栄養を筋肉にするためには運動も必要。重要なのは、栄養バランスの整った食事、心地よい疲労感のある適度な運動、深い眠り。

この3つの生活リズムを整えることが、太れる体質への近道であることを忘れないようにしましょう。

参考文献