体温が低いと太れないって、本当なの?

2017年4月20日

太りたくてたくさん食べているのになかなか太れない人は、腸の働きが弱いことが考えられますが、体温が低いことも太れない原因のひとつかもしれません。

体温の高さ・低さは、太ることといったいどんな関係があるのでしょうか?

痩せている人は脂肪や筋肉が比較的少ないため、体温が低くなりがちです。体温が1度下がると腸内の酵素の働きが半分以下に低下してしまいます。

その結果、食べた物の消化吸収率も低下し、たくさん食べても栄養や脂肪として体に吸収されにくくなってしまうのです。

体温の高低は免疫力にも影響

痩せている人は疲れやすかったり風邪や病気にかかりやすい、いわゆる「虚弱体質」の人が多く見られますが、このことも体温が低いことが関係しているのです。

体温が上がると血液の流れが良くなり免疫力がアップします。血液は私たちの体を形作る細胞に栄養と酸素を送り届ける役割があります。

その血液の中には酸素を運ぶ赤血球と免疫機能を担った白血球があることはご存知のことでしょう。この白血球が体の中を流れることで体内の異物を見つけて攻撃し、死滅させてくれます。

しかし体温が低いと血流が悪くなり免疫力も低下してしまうため、体内に異物を発見しても駆除できず、病気にかかりやすくなってしまうのです。

免疫細胞を活性化させるのに理想的な体温の高さは36.5度から37度。体温が1度上がると免疫力は一時的に5~6倍アップするとも言われています。

体温を上げて基礎代謝を高めれば、胃腸の働きも良くなり、病気にもかかりにくい体を手に入れられ、健康的に太ることが期待できるのです。

健康的に太るために、体を冷やさない生活習慣を

近年では、ライフスタイルの変化とともに体温の低い人が増えています。

現代人の身体を冷え体質にしてしまった間違った生活習慣とは、いったいどんなことなのでしょうか?

運動不足

交通機関の発達により日常的に歩く距離が短くなったこと、便利な家電製品の普及で家事労働がラクになったことなどから、現代人は日常的な運動が不足しています。

体温の約4割は筋肉で作られているため、筋肉が少ないと熱が産出されにくくなり体温の低下につながります。特に、筋肉が集中している下半身の運動不足が問題です。

食生活

体を冷やす効果のあるトマトやキュウリなどの夏野菜が一年中、スーパーで手に入るため、本来必要のない季節でも常食し、身体を冷やしすぎている傾向にあります。

また塩分は体を温める作用がありますが、健康のためにと塩分を控えすぎてしまうことも体温低下の原因となります。

水分の摂り過ぎ

大量の水分を摂り過ぎると体に余計な水分を溜めてしまい、体を冷やしてしまいます。

また冷えて代謝の落ちた身体に必要以上の水分を摂取すると排泄機能が低下し、体内に余分な水分を溜め込みやすくなり、さらに身体を冷やしてしまいます。

冷房による冷やし過ぎ

本来、夏の暑い時期には人間の身体は基礎代謝を落とし、熱を作り出しにくくなっています。

しかし冷房で冷やしてしまうともともと身体に備わった産熱機能が低下し、一年中その状態を引きずってしまいます。

シャワーだけの入浴

お風呂をシャワーだけで済ます人が増えていますが、シャワーだけでは身体は温まりません。

湯船にゆっくりつかって汗ばんでくると、体温は1℃上昇し、免疫力は一時的に5倍から6倍にアップ。湯船に浸かることにより心身のリラックス効果も期待できます。

体温を上げるための、オススメの運動はコレ

体温を上げて健康的に太るためには、熱を生み出す筋肉を作ること。

特に、全身の筋肉の約7割が集中している下半身を強化し、下半身の筋肉量を増やすのが効果的です。

運動は日常的に取り入れたいので、誰にでも無理なく、どこでも簡単にできるウォーキングやスクワットがおすすめ。

ウォーキングする夫婦

ウォーキングなら難しいこともなく自分のペースで取り組めるので、長く続けられます。

最初はお散歩の感覚で、景色を楽しみながら歩くのでも構いません。歩くことに慣れてきたら、少し速度をアップし、軽く腕を降りながら歩いてみましょう。

速度を上げて腕の振りを意識するだけで、じっとりと汗をかいて十分な運動効果が得られます。

ウォーキングを継続することで足腰はもちろん、心肺機能まで鍛えられます。雨天の場合には、ウォーキングを部屋の中で場所を取らずに行なえるスクワットにチェンジして。

体を動かすことに慣れて体力的に余裕ができてきたら、週に何日かはウォーキングとスクワットを両方取り入れてみても良いでしょう。

少しずつ負荷を増やしていくことも筋力増強のための重要なポイントです。

身体を温め、体温を上げる食べ物を取り入れよう

大地の恵みから生まれる食べ物には、身体を温める働きのある「陽性」のもの、身体を冷やす働きのある「陰性」のものがあります。

体温を上げるには、この陽性の食べ物を積極的に摂るようにしたいものです。

簡単な見分け方としては、白・緑・青などの寒色系の食べ物は身体を冷やす作用、赤・オレンジなどの暖色系や黑っぽい食べ物は身体を温める作用があるので、色で覚えておくのも良いですね。

色以外では産地によっても見分けられ、例えば寒い北の地域で採れるりんごやさくらんぼなどは身体を温め、南の温暖な地域で採れるバナナやキウイなどは身体を冷やします。

【身体を温める陽性の食べ物】

暖色系の食べ物
赤身の肉、紅鮭、エビ、明太子、小豆、卵
黒っぽい食べ物
黒砂糖、紅茶、ひじき、黒豆、醤油
寒い地域で取れるもの
りんご、ぶどう、さくらんぼ
根菜類、固いもの、その他
生姜、かぶ、ごぼう、チーズ、漬け物

【身体を冷やす陰性の食べ物】

寒色系の食べ物
牛乳、パン、バナナ、キュウリ、葉野菜

身体を冷やす陰性食品も、ひと工夫で陽性に

牛乳は身体を冷やしますが発酵させるとチーズになり、身体を温める食べ物に変化します。

また、夏野菜の代表、キュウリも身体を冷やす食品ですが、塩を加えて水分を減らし漬物にすると陽性になります。

冷奴にお醤油をかけたり、トマトやスイカに塩を振るのも、単に美味しさのためだけでなく、身体を温める作用のある調味料をプラスすることで身体を冷やし過ぎないようにするための昔からの知恵だったのです。

陰性の食べ物も敬遠せずに、陽性のものと上手く組み合わせることで身体に嬉しい一品に生まれ変わります。

生姜を加熱すると、より身体を温める効果がアップ

冷えを改善する効果の期待できる食べ物として有名なのは、生姜ですね。

生姜には発汗作用、発熱作用、殺菌作用、抗酸化作用、コレステロールを下げる作用など、身体に有効な働きがたくさんあります。

生の生姜に含まれる辛味成分ジンゲロールは抗酸化物質の一種。体の酸化作用を抑え、老化防止に役立ちます。

また血管を拡張し血液の流れをよくする働きもあり、肩凝りや頭痛の改善にも効果が期待できます。

さらに胃酸の過剰な分泌を抑えて消化吸収を助ける働きにも優れ、胃の調子を整える効果が高いのも特長です。

このジンゲロールは加熱や乾燥によりショウガオール、ジンゲロンという成分に変化します。

ジンゲロールよりも身体を芯から温める働きが強いので、冷えの改善には生姜を加熱して摂取するのがオススメです。

健康的に太るために、まず体温を上げることを考える

体温が低いと免疫力がダウンし、病気にかかりやすい身体に。

また腸の働きも低下するため食べた物が上手く消化吸収できず、身体に栄養が行き渡らないため、たくさんたべても太れない身体になってしまいます。

太れない人が健康的に太るためには、まず体温を上げることが重要なのです。

体温を上げるには適度な運動と適切な食事がカギ。簡単なウォーキングを習慣づけ、バランスよい食生活を基本にしながら身体を温める働きのある陽性の食べ物を積極的に摂るようにしましょう。

体温を上げて基礎代謝を高めれば、胃腸の働きも活発になり、栄養を吸収しやすい、太れる身体を手に入れられるようになりますね。

参考文献